2015年1月4日日曜日

高齢者、スマホで見守り   メディカル・ケア・サービス

 認知症の高齢者を見守るシステムの開発が広がってきています。介護中堅のメディカル・ケア・サービス(さいたま市)は小型発信器とスマートフォン(スマホ)を使い、施設から迷い出た高齢者の情報を地域住民に収集してもらう仕組みを開発しました。オリックス系の有料老人ホーム運営会社はセンサーによる外出検知をめざします。認知症患者の安全確保や介護職員の負担軽減につながりそうです。






 厚生労働省の推計では、日常生活に支障のある認知症高齢者は2025年に10年比7割増の470万人に達します。自宅や施設から迷い出る「徘徊(はいかい)」は認知症の特徴的な症状の一つです。年間約1万人が行方不明になっています。大半は見つかりますが、家族や介護事業者には探す手間がかかり心労のもとにもなっております。
 メディカル・ケアは認知症高齢者が入居するグループホームを全国で約220施設運営しております。NTTグループのNTTPCコミュニケーションズ(東京・港)やデンソーと組み、徘徊する高齢者を探すシステムを開発しました。2015年度に全施設で導入する予定です。
 五百円玉大の発信器を衣服など高齢者の身の回り品に、家族の同意を得て事前に取り付けておきます。一方、説明会などを開き施設周辺の住民に協力を仰ぎ、発信器の電波を拾って位置情報を介護施設に送る無料アプリ(応用ソフト)を手持ちのスマホに取り込んでもらいます。最大80メートル離れていても検知でき、スマホを持った住民が高齢者とすれ違う程度で自動的に居場所を把握できるシステムとなっております。
 地域を営業で回る企業の社員や自治体職員のほか、認知症患者を助けるため国が養成を進めるボランティア「認知症サポーター」にも協力を求めます。サポーターは全国に540万人います。
 都内のグループホームで効果を検証し、徘徊した高齢者を見つけるまでの時間を従来の3分の1に短縮できる見込みが立ったとしています。発信器は1つ約1千円で、1人に3個ほど装着します。
 認知症の高齢者に全地球測位システム(GPS)機能が付いた携帯端末を持ってもらう方法があります。ただ携帯端末の電池は数日で切れることが多い現状です。今回の発信器は1年以上使い続けられるものになります。
 オリックス・リビング(東京・港)は老人ホームの個室に設置した赤外線センサーを使います。現在はベッド周辺が対象で、起床や転落などを把握していますが、室外に出る動きも検知できるように機能を拡充します。
 まごころ介護サービス(静岡市)も10月から介護施設5カ所に、所外に出る高齢者をカメラで検知し職員のスマホやタブレット(多機能携帯端末)に通知するシステムを導入しました。

認知症対策は、これから大きく進展していくことと考えられています。逆説的に考えるとこれまではなかなか取り組めていなかったともいえます。その理由の一つとして、認知症の高齢者に対する安全管理が拘束などと密に関わっていたからです。管理を徹底するということは拘束に繋がりかねなかったのです。ひどい施設では手や足をベッドに括りつけていたなんて事例もこれまでいくつもありました。その人らしい生活を過ごす支援を行なうということは、言葉では奇麗ですが、リスクも多く潜んでおり、今回のサービスが拡大することで、機能が向上すればと願います。








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