2015年1月28日水曜日

昨年の倒産、老人福祉が過去最悪の水準 帝国データバンク

 2014年に倒産した老人福祉事業者は45件で、介護保険法が導入された2000年以降で最多だった2013年とほぼ同水準だったことが、帝国データバンクの調査で分かりました。一方、診療所の倒産は14年ぶりに1ケタ台にとどまり、病院も2013年に比べて3件少ない5件となるなど、いずれも減少傾向が見られました。






 帝国データバンクでは、訪問介護や高齢者向けデイサービスなどを運営する老人福祉事業者と、病院や診療所に歯科医院を含めた医療機関の2000年から2014年までの倒産動向について調査・分析しました。
 その結果、2014年の老人福祉事業者の倒産件数は45件で、2000年以降最悪を記録した2013年の46件に次ぎ、2番目の多さとなりました。負債総額は77億1400万円で、こちらも2000年以降では最悪の2008年(78億9300万円)に迫る額となりました。倒産態様では破産が41件、民事再生法の適用が3件、特別清算が1件でした。
 老人福祉事業者の倒産件数が高止まりしている背景について、帝国データバンクでは、2000年から2014年にかけて倒産した老人福祉事業者の72.2%が設立後10年未満の若い事業所であることから、「中長期的な展望がないまま業界に参入した事業者の倒産がここに来て相次いでいるためではないか」と分析しています。2015年以降の倒産の動向としては、業界内の競争の激化と人手不足の深刻化に加え、4月の介護報酬改定が引き下げとなったことが影響し、「従来と比べて、やや規模が大きな企業の倒産が発生する可能性もある」としています。
 2014年の医療機関の倒産は29件で、2013年から5件減少しました。その内訳は病院が5件、診療所が9件、歯科医院15件でした。歯科医院の倒産件数は2000年以降、最多となりました。倒産態様では破産が26件、民事再生法の適用が3件でした。負債総額は病院が140億5100万円、診療所が29億7800万円、歯科医院が14億5600万円でした。
 病院や診療所の倒産が減少傾向にある一方、歯科医院の倒産が2000年以降最多となった背景について、帝国データバンクでは「2013年3月に終了した中小企業金融円滑化法は、医療法人を対象に実質的な継続取り組みが行われているが、個人経営が多い歯科医院は、その恩恵を受けにくいためではないか」としています。

医療も介護福祉も国から定められた報酬に則って収益が確定する分、他事業所との差別化というのが難しい部分があります。職員を増やすなど手厚いサービスへとシフトすれば利益を圧迫しますし、かといって地域に選ばれるだけの魅力が無ければ、集患につながりません。その難しさと、介護は新規参入が増加し競争が激化したためでしょう。しかし、2025年に向けてこれからますます医療と介護の必要性は増していきますが、小さな事業所でもしっかり営んでいける制度の整備をお願いしたいものです。このままでは小さな事業所は事業を継続していくことが難しい状況に拍車がかかっていき、ひいては地域住民にとって安全で安心な生活環境の維持が困難になっていく可能性が高いのではと懸念いたします。







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