2014年12月11日木曜日

国立大学病院 補填率は6割未満

国立大学附属病院長会議は12月5日の定例会見で、4月に引き上げられた消費税8%の診療報酬での補填率が6割に達していない国立大病院が17病院、国立大病院全体の4割を占めることを明らかにしました。山本修一常置委員長(千葉大病院長)は、この結果について「消費税率10%の引き上げまで持ちこたえられるか分からない危機的な状況です」と強調され、2017年4月の10%引き上げまで待たずに高額投資などに対する何らかの対応が必要になるとの認識を示しました。






山本委員長は会見で、日本病院団体協議会の加盟団体として参加した消費税8%の診療報酬における補填率の調査では、800床以上の15大学病院の平均では、控除対象外消費税増税額2億2900万円、診療報酬改定による消費税補填額が1億3600万円で平均補填率が59%、 800床未満の27大学病院では、控除対象外消費税増税額1億3200万円、診療報酬改定による消費税補填額が8600万円、平均補填率が65%になったと説明されました。800床以上の病院では、増税による持ち出し分は平均で9300万円、800床未満では平均4600万円になるとしました。
最も影響の大きかった国立大病院では、診療報酬での補填率が44%にとどまり、増税による病院持ち出し額は2億1000万円になるとしました。補填率が6割に達していない国立大病院は17病院あり、山本委員長は「ある程度は補填されているが、(ばらつきがあり)極めて不公平な結果です」と指摘されました。2017年4月の10%引き上げまでに、高額投資などへの対応策とともに、控除対象外消費税の抜本的解決を進めることが不可欠との見方を強調しました。
名古屋大病院の石黒直樹院長も、「国立大病院群は本来、診療機器などで900億円の設備投資額が必要ですが、それを230億円に圧縮して厳しい経営環境を切り抜けようとしている。国民から大学病院に期待されている先進医療を担う最新機器の購入計画を進めることができない」と述べられ、国立大病院の安定的経営を維持するためにも控除対象外消費税問題の解決を強く求めました。
一方、群馬大病院で起きた腹腔鏡手術での肝切除、肝区域切除による死亡事故に対する病院長会議としての見解を求める質問が出ました。山本委員長、大阪大病院の金倉譲院長らは「群馬大病院の調査結果を待ってコメントしたい」と述べるにとどめられました。

消費増税による病院運営への影響は非常に大きな重しとなっております。社会保障の安定のための増税であったはずが、足元の病院運営に厳しい風を吹かせていることについては、考慮される余地は当分見受けられません。今の状況で仮に規制緩和が進み、営利団体の参入などがあれば、強い医療機関の収支は改善されるでしょうが、切り捨てられてしまう医療と患者が生まれてしまうことを危惧いたします。本来、資本主義の社会では競争社会が当然ではありますが、地域の医療を守るライフラインであるはずの医療の存在は、どのように見ることが正しいのでしょうか。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


0 件のコメント:

コメントを投稿