2014年12月21日日曜日

かかりつけ医機能の負担

地域包括診療料と地域包括診療加算の要件のうち、常勤医師が3人以上の在籍について、診療所の開設者・管理者の9割以上が、かかりつけ医機能として重要ではないと考えていることが、日本医師会(日医)の会員調査で分かりました。12月17日に記者会見した日本医師会の中川俊男副会長は、「状況を見ながら検証して、(地域包括診療料などが)現場としては非常に良いということが分かれば、要件の緩和を求めていきたい」と述べられました。






 地域包括診療料と地域包括診療加算は、2014年度の診療報酬改定で、主治医機能を評価するために新設されました。原則として診療所が対象で、患者の同意を得た上で、継続的かつ全人的な医療を行うことで算定できます。
 要件には患者の健康管理や服薬管理、24時間体制の対応などがあります。常勤医師3人以上の在籍は、診療所が地域包括診療料を算定するためには必須となっております。地域包括診療加算を算定する場合にも、常勤医師3人以上の在籍か時間外対応加算1か2の届け出、在宅療養支援診療所であることの、いずれかを満たすことになっています。
 日本医師会は次回の診療報酬改定に向けた議論の基礎資料にするため、10-11月に会員の調査を実施しました。1519人から回答を得ました。この中で、地域包括診療料などの要件を抜粋し、かかりつけ医機能として「特に重要と思われる項目」と「特に負担あるいは困難な項目」を複数回答で調査いたしました。
 その結果、重要だと答えた割合は、「受診勧奨や健康状態の管理」(59.6%)や「主治医意見書の作成」(56.1%)、「健康相談」(53.3%)、「患者に処方されているすべての医薬品の管理」(52.1%)、「患者が受診しているすべての医療機関の把握」(51.9%)が5割を超える結果となりました。一方、「常勤医師3人以上」は5.6 %にとどまり、「在宅療養支援診療所」(14.8%)、「原則として院内処方」(14.9%)なども低かい結果でした。
 また、負担だったり困難だったりする項目として挙げられた割合は、「常勤医師3人以上」が最も高い77.9%で、以下は「在宅患者への24時間対応」(69.4%)、「在宅療養支援診療所」(54.4%)、「原則として院内処方」(46.5%)などと続きました。「健康相談」(13.3%)や「受診勧奨や健康状態の管理」(14.1%)、「主治医意見書の作成」(15.3%)などは低い結果でした。

調査結果の回答は、まさしく現場の声であると感じます。まず前提として、常勤医師3人以上の在籍を行なう開業医が、現実的にどれだけあるかということです。本当に魅力ある先生のところでなければ、わざわざそこで勤める医師は皆無でしょう。思いが無いのなら自治体病院に勤めた方がよっぽど負担も少なく居心地も良いと思います。もしくは、ご自身で開業されるでしょう。確かに常勤医師が3人いれば、外来診療をしながらも訪問診療にも行けて、また緊急対応もできるでしょう。夜間もローテーションを組めば負担は軽減されるでしょう。でもそれは、絵空事ですよね。なかなか現場がご理解いただけていないことに対し、今回の調査内容が少しでも刺さることを期待したいものです。








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