新型法人に関しては、事業地域範囲、参加者の対象範囲、業務内容、統治の仕組み、非営利性の確保など、透明性の確保、の6項目ごとに、厚生労働省がこれまでの意見を踏まえた議論の方向性や提案内容を示しました。参加者については、「法人」が「複数」参加することを前提としました。その 上で、病院、診療所、介護老人保健施設を経営する医療事業を行う法人を対象にすることを提案しました。社団型の場合は参加法人を社員に、財団型の場合は参加法人の代表者を評議員にするとし、委員からは賛成意見が出ました。社会福祉法人の取り扱いについては、社会保障審議会・福祉部会が議論している社会福祉法人制度改革の状況も踏まえて引き続き検討します。
業務内容では、法人全体におけるキャリアパスの構築、医薬品などの共同購入、参加法人への資金貸付・債務保証・出資、株式を一定以上保有している株式会社の介護事業や医薬品の共同購入など新型法人に関連する事業を対象に出資、を可能にすることなどを提案しました。委員からは、株式会社への出資について「資金流出の可能性が残るため保有率は100%にすべき」との意見が複数出ました。
議決権については、「1社員1議決権」とする以外の仕組みも検討すべきとの意見が複数出ました。 日本医師会常任理事の今村定臣委員は「1社員1議決権は大原則です。議決権に差異を設けるべきではない」と主張しました。一方、明治安田生活福祉研究所主席研究員の松原由美委員は、「1人1票ではない決め方で資本の論理が働かない決め方にどういうものがあるか、検討は必要ではないか」と問題提起されました。ただ「定款に定めねばあとは自由、というのはない」とも述べられました。立教大法学部教授の松井秀征委員も松原委員に同調 し、「選択の余地がまったくなくなるのはどうかというのは素朴な疑間」と述べられ、1社員1議決権以外の仕組みを検討する必要性を指摘しました。
新型法人を進めて移行する国の本当の目的が何なのか、どうもそれが鮮明に把握できなければ個々の議論の方向性など賛否が大きく割れると思います。医療は誰のためのものでしょうか。それを維持していかなければいけないのは、誰の責任の範疇なのでしょうか。もし、改革を進めていくならその歪みが患者・家族にいかないように、また地域医療の崩壊の引き金にならないようにしっかり検討して頂きたいと強く願います。
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