2014年12月30日火曜日

急性期と回復期の境界

厚生労働省の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大経済学部長)は12月25日、医療需要を推計する際に、高度急性期から慢性期の4つの機能で分ける境界点の考え方について議論しました。この中で、病床必要量の推計手法の検討を進めている産業医科大教授の松田晋哉構成員は、「急性期と回復期の境界点」(C2)について、患者の1日当たりの診療報酬から入院基本料とリハビリテーション料を除いた出来高点数が「500~1000点」が目安の1つになるとの検討状況を明らかにしました。






地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会は、DPCデータと「レセプト情報・特定健診等情報データベース」(NDB)を使って各患者の1日ごとの医療資源投入量を計算し、高度急性期、急性期、回復期、慢性期ごとの4つの患者数の推計手法に関する検討を進めている。病床数の必要量は患者数を推計した上で計算します。
松田構成員は、C2について、患者の1日当たりの診療報酬から入院基本料とリハビリテーション料を除いた出来高点数が「500~1000点のどこかになる」と説明されました。その上で「臨床家のご意見も聞きながら決めていく。あくまでもある程度マクロで推計するための値をどこにするかの議論であるということをご理解いただきたい」とも述べられました。また、「高度急性期と急性期の境界点」(Cl)について「3000点程度」との認識も示されました。一方、「回復期と慢性期・在宅医療等の境界点」(C3)についての具体的言及はありませんでした。 C2については、複数の構成員から低めに設定すべきとの意見が出ました。日本医師会副会長の中川俊男構成員は「1000点よりも大幅に低めのほうがいい。13対1や15対1でも急性期機能を担っている」と指摘しました。さらに「2025年に向けて、地域の医療資源との関係などで徐々に収れんされるようにすべき」とし、現時点で「境界点の点数を出すのは極めて拙速だ」と主張しました。
日本医療法人協会会長代行の加納繁照構成員は「患者の状態が安定化していれば500点くらいが妥当だ。根拠が必要であれば積算を示したい」と述べられました。全国自治体病院協議会長の邊見公雄構成員も「C2は低めのほうがいいのではないか」との見方を示されました。
別途指標を設定する「慢性期と在宅医療等」の推計手法も検討しました。厚生労働省は、2025年に向けた在宅医療の充実で、療養病床の入院受療率が低下することを前提にした推計を提案しました。その上で、療養病床の入院受療率に地域差がある現状を踏まえ、在宅医療や介護施設などの整備見込みを反映して、地域が目標補正できる手法を採用すべきとの考えを示しました。目標補正については、全ての地域で受療率を最小レベルにまで低下させる、全国の受療率を最小値から中央値までの範囲に低下させる、の2案を示しました。構成員からは、「目標補正の2案とも現実的ではない」「受療率を20対1と25対1に分けたデータを示すべき」との意見や、受療率で地域差が生じている要因分析を求める意見や、受療率以外の要素も考慮することを求める意見などが出ました。

病床機能報告の速報結果も聞こえてきている中で、各病院はこれからどのように特化していくべきか病院長を中心に経営幹部が検討に検討をかさねていることではないでしょうか。医療の意義は、患者の身体に対するケアであり、患者中心の公共的なライフラインでもあるため、地域の医療の需給バランスなどを考慮したうえで進めなければならず、地域医療構想の協議が進めば少しクリアになっていくのでしょうか。ただ虎視眈々と自らの方針・戦略に沿って進めている病院もあることから、ただ待っていても最良ではないため、まずは今回のC1やC2の目安を参考に検討していかざるを得ないでしょう。








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