2014年12月29日月曜日

同一建物に対する訪問診療

中医協総会 (会長=森田朗・国立社会保障・人口問題研究所長)は12月24日、2014年度診療報酬改定で実施した「同一建物における同一日の複数訪間の評価見直し」に伴う医療現場での影響を探る検証特別調査 (速報版)を行ないました。その結果は、期中改定が必要とされる実態は認められず、次期診療報酬改定に向けてさらに議論を進める方向を確認しました。






厚生労働省は、この日の診療報酬改定結果検証部会に対し、医療機関が訪問診療を行う平均居宅・施設数や平均訪問回数などがほぼ横ばいあるいは増加、同一建物関連の評価見直しの背景の一つとなった事業者から患者の紹介を受ける対価として、経済上の利益を提供する契約を行っている診療所は、2014年度改定前後で13%から0.2%に減少、患者1人当たり訪問診療時間 (中央値)は同一建物患者が7.5分、同一建物以外の患者で19.0分、訪問看護の調査では、訪問看護の平均利用者数、平均訪問回数が増え、訪問時間についても同一建物以外の方が長い一などの特別調査(速報版)の結果を報告しました。
検証部会で了承が得られたことを受け、総会にも同様の結果を提示しました。保険局の宮嵜雅則医療課長は総会で、調査結果を踏まえ「在宅医療の評価の在り方は、検証結果を踏まえ次期診療報酬改定に向けて、中医協でさらに検討を進めることでよいのではないか」と提案され、各側委員からも特段異論は出ませんでした。
調査結果をめぐっては、支払い側の白川修二委員(健保連副会長)が、同一建物で「医師1人 が1日に訪問診療を行った患者数が41人以上という施設が17施設」あることや、「患者1人の訪間診療時間が同一建物以外と比べると短く、診療内容も健康相談等の比率が高い」点を指摘し、同一建物の訪問診療の在り方を引き続き議論する必要性を指摘されました。患者紹介の契約状況については「無回答の比率が改定後に7.3%から10.1%に増えているのは、恣意的に回答しなかったと推測せぎるを得ません。今回の改定で療養担当規則の一部改正も行いましたが、まだまだ問題があり、引き続きチェックしていくことが必要だ」と強調しました。
また、花井圭子委員 (連合総合政策局長)は「通院が困難でないにもかかわらず、患者が居住する施設が希望したからという回答が同一建物で3.6%もある」と問題提起されました。白川委員も「訪問診療は、通院が困難な患者対象が原則だが、その原則論から離れている事例が一部推察される」と述べられました。
一方、診療側の鈴木邦彦委員 (日本医師会常任理事)は「改定後半年を経過したが、集合住宅で訪問・往診している病院・診療所が減ったという施設は一部あったが、引受先が見つからず都道府県等に相談したのは1施設でした。今回の改定によって収入が減ったという施設もありますが、在宅医療全体に影響を及ぼすとは言えず、引き続き次期改定に向けて精緻化していくことが必要」との見方を示しました。ただ、患者紹介の契約状況に関する診療所における無回答の比率が高まっていることにも触れ「7.3%から10.1%に増えているのは分析が必要」と問題意識を示しました。

在宅医療の推進のときに、患者紹介の現状が明らかになり、方向性を余儀なく修正しました。本来であれば、在宅の中に同一建物も分け隔てなく考慮する予定でしたし、サ高住などは自宅という概念はまだ残っております。今は、診療報酬や介護報酬上では自宅とは異なると言わざるを得ない仕訳が、今後の地域医療において大きなひずみを生まないことを切に願います。








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