2014年8月16日土曜日

社会保障審議会医療保険部会が意見を整理

 厚生労働省は8月8日に、「社会保障審議会医療保険部会での主な意見」を公表しました。

 医療保険部会では、7月24日の会合までに医療保険改革に向けた1巡目の議論を終えており、これまでに出された代表的な意見を整理したものになります。
 秋から2巡目の議論を始め、年末の予算編成に向けて意見とりまとめを行う構えです。政府は、来年(平成27年)の通常国会に医療保険改革法案(健保法改正案など)を提出する予定であります。






 「主な意見」は、医療保険改革のテーマに沿って整理されています。
 まず、改革の目玉である『国保改革』については、医療保険部会に加えて、市町村・都道府県・国による協議の場(国保基盤強化協議会)でも議論が行われています。
 そこでは、主に(1)財政上の構造問題の分析と解決方策(2)都道府県と市町村の役割分担の在り方―の2点に関する検討が進んでいます。
 この国保改革というテーマについて、医療保険部会では、主に都道府県側から次のような強い要望が出されていることが確認されています。
●国保の構造問題を解決するためには赤字を解消するだけでなく、将来にわたり安定した制度となることが必要であります。
●国保では、保険料負担の重さから「一般会計からの法定外繰入」を実施せざるを得ないという実態もあります。法定外繰入をやめるべきとの指摘があるが、そうであるならば基盤強化のための公費による財政支援が不可欠であります。
●「所得水準が低いにもかかわらず保険料負担が重い」という逆進性を是正するような、抜本的な財政基盤の強化が必要であります。
●公費財源を予算編成過程で確実に確保してほしい。国保が崩壊すると、地域医療が崩壊してしまう可能性が高い。
●後期高齢者支援金への全面総報酬割導入により生じる財源を国保支援に優先的に活用することを含めて、国の責任において財政確保を行うべきと考える。
 なお、国保改革は「大改革」であるため、システム整備などの面での実務への混乱を避ける必要があります。そのためにも早期に都道府県と市町村の役割分担を明確にしなければならないが、医療保険部会の委員からは「(一体改革の項目とスケジュールを規定した)プログラム法では『平成29年度までを目途に措置を講ずる』旨が規定されているが、難しい場合には実施時期について柔軟に考えるべき」との指摘が出されています。

 また、今般の医療保険改革では「紹介状なしに大病院外来を受診する場合の新たな定額負担導入」も注目される項目の1つとなっています。
 厚労省は「初診料・再診料等を保険給付から除外する(全額患者負担とする)」ことを軸に具体案を検討しています。
 この考え方に明確に反対する意見はないが、次のようなさまざまな見解があることが確認できます。
●「なぜ紹介状なしで大病院を受診するのか」等の受療行動に関する分析をして、対策を立てたほうが効果的ではないか。
●医療保険の枠内に限らず、選定療養の拡大等を通じて、紹介状なしの大病院受診を抑制する仕組みを考えるべきではないか。
●ゲートキーパーとなりうる地域の医師をどのように確保・育成していくかが課題ではないか。研修等を実施したうえで(医師を)地域に適正配分し、紹介状を書いてくれる医師について患者に情報提供していただきたい。
●「より機能分化が必要とされる大規模な医療機関」ほど負担額が大きくなるというように、病床規模で分けてもよいのではないか。
●大病院の範囲について、「病床数なのか」「機能なのか」「両方なのか」などが考えられる。

 ところで、医療保険改革では「費用負担の仕組み」を見直す議論がメインとなりますが、医療費が増加を続ければ、いずれ負担の限界が来てしまいます。このため、医療保険部会では医療費適正化等に向けて次のような意見が出されています。
●被用者保険の保険者が医療費の適正化・効率化や、加入者の健康の維持・増進に効果的に取組んできた努力を十分尊重するとともに、国保と被用者保険が共存し、連帯を基礎に保険者機能を発揮できる制度体系を維持すべきではないか。
●今後、生活習慣病の予防を進めていくうえで、特定保健指導の実施率を上げることが重要ではないか。
●健診やレセプトのデータを分析して活用し、自治体において効果的な保健事業を企画できる人材の養成や確保が必要ではないか。
●健康・予防インセンティブの付与について、個人・保険者に加えて企業の取組みも重要です。海外では「健康経営(社員の健康づくりを生産性向上や業績改善につなげる)」が普及しています。日本でも「社員の健康づくりに取組む企業」に対し、税制優遇や保険料の軽減などを行う仕組みが必要ではないか。


来年(平成27年)の通常国会に医療保険改革法案に提出するために意見を整理されてますが、これから方向性が次第に明確化してくると思います。その内容によっては各病院の経営にも大きな影響を及ぼすことになりますが、大病院の外来について少し。
ここで初診料・再診料等を保険給付から除外し全額患者負担とする具体案が出ているということは、ほぼその方向性で固まっていくでしょう。ただ大病院の外来患者が多い理由は、初診患者というよりもむしろ、退院後の経過観察等の外来患者の多さではないでしょうか。広報連携が地域と出来ていないことの方が今取り組むべき課題ではないでしょうか。確かに携わった医師からすれば、この段階で自分の担当から地域の開業医等へ渡していくことが、適切な判断なのか決断することがまだまだ難しい現状です。連携がもっと進めていけるような対策が必要ではないでしょうか。








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