2014年8月30日土曜日

終末期の相談体制検討   国立長寿医療研究センター等

 厚生労働省は8月21日に、平成26年度の「人生の最終段階における医療体制整備事業説明会」を開催しました。
 高齢化が進展する我が国においては、終末期医療のあり方が大きな課題であり、これまでにもさまざまな場で検討が行われています。
 たとえば厚生労働省は平成19年(2007年)5月に『終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン』を発表しました。そこでは「医療・ケアチームが、患者の状態を踏まえて、終末期の判断を行う」「患者の意思が確認できる場合にはそれを基本とし、確認できない場合には家族による推定意思を尊重する」ことを確認したうえで、終末期にどのような医療提供を行うべきかを決定すべきと結論づけています。
 また、日本医師会は平成20年(2008年)2月に『終末期医療に関するガイドライン』をまとめました。そこでも「主治医を含む複数の医師を含めた医療ケアチームで終末期の判断を行う」「患者の意思が確認できる場合にはそれを基本とし、確認できない場合には家族による推定意思等を尊重する」「事前の文書による意思表示を確認することが重要」といった内容が提唱されています。

 これらのガイドラインが発表された後も、後期高齢者医療制度の創設、社会保障・税一体改革の推進など社会情勢は変化を続けています。そうした中で厚生労働省は、平成26年度予算において「人生の最終段階における医療体制整備事業」(5400万円)を行うこととしています。これは、厚生労働省が平成19年に発表した「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」に沿って、「人生の最終段階における医療などに関する相談に乗る」「必要に応じて関係者の調整を行う相談員の配置や、困難事例の相談等を行うための複数の専門家からなる委員会(臨床倫理委員会)の設置を行う」ことなどで、適切な医療体制のあり方を検討し、整備する事業であります。平成26年度には10の医療機関(社会医療法人恵和会 西岡病院、岩手県立二戸病院、医療法人鉄蕉会 亀田総合病院、地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター、南魚沼市立ゆきぐに大和病院、諏訪赤十字病院、独立行政法人国立病院機構 長良医療センター、独立行政法人 国立循環器病研究センター、医療法人凌雲会 稲次整形外科病院、社会医療法人芳和会 くわみず病院)が参加し、国立長寿医療研究センターと連携して、適切な相談体制などを検討していくこととなっています。






 この10病院では、次のような事業を行う必要があります。
●人生の最終段階における相談員を配置し、研究機関が開催する研修会を受講する●相談員は患者からの相談に応じるとともに、必要に応じて関係者の調整を行う●医療内容の決定が困難な場合には、複数の専門職種からなる倫理委員会を設置する●事業実施においては、研究機関と連携するとともに、事業の評価に必要な報告等を行う
 各病院の相談員に対しては研修会等を実施するだけではなく、実施の前と後で「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」の認知率調査を行います(全職員対象)。さらに、患者に対して「相談員に会ってみたいか」を尋ねるスクリーニング調査、患者家族に対するインタビューなども行い、平成27年3月には事業報告書を提出しなければなりません。
 一方、国立長寿医療研究センターは、「参加医療機関への訪問(平成26年9月、および平成27年2月)」「フォローアップ研修会の開催(平成27年2月)」「相談窓口による個別相談」「ホームページによる情報発信」といったサポート体制を敷いています。

患者の意思が確認できる場合にはそれを基本とし、確認できない場合には家族による推定意思を尊重するというのは、当たり前でかんたんなようですが、普遍的ではないので非常に難しいと思います。そこで事前の文書による意思表示を確認することが重要といったような尊厳死について、本格的に国民一人ひとりが考えるべきなのでしょう。参議院予算委員会での麻生副首相への民主党の梅村議員の質疑でも尊厳死は着目されました。あの質疑は本当に素晴らしく、国民に考えるきっかけを強く与えたことと思います。国は動き始めています。我々国民一人ひとりの意識も、変え始める時期に差し迫っています。








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