2014年8月15日金曜日

阿蘇医療センターが担う役割とは

熊本・阿蘇地域の中核医療機関として、阿蘇市が旧阿蘇中学校跡地(阿蘇市黒川)で建設を進めていた「阿蘇医療センター」が完成し、8月6日に開院します。阿蘇中央病院(甲斐豊院長)の老朽化に伴う移転・新築で、心筋梗塞など命に関わる急性期疾患に対応する態勢を整えます。過疎地における医療再生のモデルを目指す病院となります。
                   
  7月20日に開かれた阿蘇医療センター完成記念式典後の祝賀会で、佐藤義興・阿蘇市長は、「昼間には、太陽の光が院内に入ってくるよう設計した。南には阿蘇五岳、北には大観峰が位置する絶好のロケーション。心身ともに癒される阿蘇の中核病院となるでしょう」と語られました。
 新病院は鉄筋4階建て、延べ床面積約1万1300平方メートルになります。外来棟、中央診料棟、病棟で構成され、病床数は一般120床と感染症対応の4床です。災害拠点病院として耐震・免震構造を採用し、敷地内に防災ヘリやドクターヘリが離発着できるヘリポートも設置しました。
 MRI(磁気共鳴画像装置)やCT(コンピューター断層撮影装置)など高度医療機器も導入しました。甲斐院長は「心臓や脳周辺の血管を撮影する装置を手術室に備え、急性期疾患にも対応できるようになりました」と述べられました。






 阿蘇地域は高齢者率が30%を超え、急性期疾患への対応は極めて重要となっている地域であります。熊本大医学部付属病院副病院長(消化器外科教授)の馬場秀夫氏も「阿蘇地域でさまざまな治療に対応できる態勢は意義深い」と語られました。
 ただし病院というハードは整いましたが、過疎地医療再生には、医師不足など課題も残っています。
 熊本県によると、熊本は人口10万人当たりの医師数は266・4人と全国平均を上回っています。しかし、医師が熊本市内に集中し、熊本市と阿蘇地域の差は3・26倍の開きがあります。
 阿蘇医療センターは9診療科を持ちますが、常勤医は内科医や脳神経外科医など4人だけで、当面、熊本大医学部付属病院などから派遣される非常勤医で対応する予定です。甲斐院長は「ハード面、ソフト面は車の両輪にあたいします。地域医療のモデル施設を目指して、今後も常勤医確保に力を注いでいきます」と語りました。
 現在の阿蘇中央病院は開院から60年以上が経過し、建物の老朽化が目立つようになっていました。阿蘇市は平成18年11月に同病院経営改革委員会を設置、病院の新たな方向性を検討し、移転・新築を決めました。
 当初計画は、2014年4月の開院を目指していましたが、地盤改良など追加工事が必要になったほか、建設業界での人手不足や資材不足により工事が遅れたといいます。

建物の老朽化や耐震問題などで、全国で病院の改築や新築移転が増えてきております。それぞれがこれからの地域で担う役割を鑑みて新病院を建築しておりますが、ただ地域包括ケアとして十分な機能が担えるかどうかは、他の病院との連携も重要になってくる要素です。一気に診療内容を充実させた病院を開院させても、医師不足というのが、地方の実情ではないでしょうか。人材確保は後で取り組むとして、先にハードを整えるというのが多くの病院の進め方ですが、少し立ち止まって、地域としての役割をそれぞれの医療資源を基に統合的に考えていかなければ、歪みが生じるのは目と鼻の先ではないでしょうか。








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