2014年8月5日火曜日

重度化する特養

社会保障審議会・介護給付費分科会 (分科会長=田 中滋 ・慶応大名誉教授)は7月23日、次期介護報酬改定に向けて、特別養護老人ホームや特定施設入居者生活介護をテーマに議論を進めました。
厚生労働省は特養に関する論点として、医療ニーズの高い入所者に対して適切なケアを行う観点から、施設における医療提供体制や介護報酬上の評価の在り方をどう考えるか、これまで個室ユニット型施設の整備が推進されている一方、地域の実情に応じて多床室整備が行われている実態に鑑み、プライバシーに配慮 した多床室の在り方を検討する必要があるのではないか、多床室は室料を含まない光熱費相当分のみが居住費とされているが、今後の居住費の利用者負担の在り方をどう考えるか―など6点を示されました。






特養における医療提供について、同日の会合から参加 した鈴木邦彦委員 (日本医師会常任理事)は 、入居者が重度化する中で「健康管理や療養上の指導を行う配置医師や看護師だけでは不十分」と指摘されました。その上で、特養が住まいに位置付けられる点に言及し「それ以上の医療や看護は、必要に応じて外付けを中心に提供されるべきです」と述べられました。齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)は「必要な時にピンポイントで訪問看護などの連携で入れるような外付けサービスの充実が重要です」とコメントされました。堀田聰子委員 (労働政策研究・研修機構研究員)は「基本的な考え方として、多職種を施設の中に配置することを評価するのではなく、提供されている機能を評価するという考え方が大事になります」と指摘しました。
村上勝彦委員 (全国老人福祉施設協議会日l会長)は 多床室の居住費について、多床室には低所得者の生活を支えている機能があるとして「光熱水費以上の室料の負担を求めることは避けるのが原理原則」と述べられました。田部井康夫委員(認知症の人と家族の会理事)は、プライバシーに配慮した多床室ができても料金が上がれば低所得者にとって縁遠い施設になるとして、「低所得でも入れる個室型の促進を原則とする以外は無いのではないか」との考えを示しました。内田千恵子委員(日本介護福祉士会副会長)は 、個室ユニットが理想とする一方、実際には多床室が適している利用者もいるとして、「個室ユニットだけという考え方ではなく、もっと多様な考え方で施設が造られていけば良い」と述べられました。
7月23日は、次期介護報酬改定に向けて2014年度に実施する7本の調査研究事業の調査票について了承しました。同分科会の介護報酬改定検証・研究委員会ですでに了承された内容です。
7月23日の会合から老健局幹部が出揃ったほか、吉田学・大臣官房審議官 (医療介護連
携担当)と 苧谷秀信・大臣官房審議官(老健担当)が出席され、次回から保険局の渡辺由美子・医療介護連携政策課長も出席されます。

地域包括ケアの構築に向けて、特養のあり方も変化していかなければならない時期に差し迫っているということだと思います。特養は住まいに位置付けられているということです。そして要介護度3以上の方に限定した施設へと特化していきます。ただ住まいとなれば、どんな状態でもプライバシーは確保されるべきです。一日のほとんどの時間をベッドの上で過ごしているからといって、プライバシーを疎かにすることはあってはならないことと思います。ただし、その方その方にとって優先順位の優劣はあると思います。特養の入居者の方にとって何を最優先とするべきか。金銭的な負担を少なく安心を求める方が入居者のセグメントであるのなら、目指すべき方向性を誤まらないように取り組まなければ、地域包括ケアの実現も揺らぐのではないでしょうか。






ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


0 件のコメント:

コメントを投稿