2014年8月31日日曜日

患者申出療養 厚生労働省 宮寄雅則課長

厚生労働省保険局医療課の宮寄雅則課長は、来年の通常国会に提出予定の 「患者申出療養」 (仮称)に 関する中医協案 を今秋にも取りまとめる方針を明らかにしました。2016年度診療報酬改定に向けては、その次の2018年度診療報酬・介護報酬同時改定を見据えながら「地域医療構想の本格化に向け、病床規模や機能区分に応じて医療機関の安定的経営を支える診療報酬の在り方について中医協で議論じていただきたいと考えている」と述べられ、医政局など他局とも連携しながら次々期改定までを視野に入れた改定論議を進めていく考えを強調しました。
宮寄課長は「診療報酬体系に関する腰を据えた議論も重要ですが、まずは喫緊の課題からやっていくことが重要」と指摘されました。「次期改定に向け費用対効果制度の試行導入の議論のため、今秋から具体的事例に即してどう進めていくか検証していきたい」と述べられ、近々にも患者申出療養と費用対効果制度の議論を進めていく方針を示されました。






その上で次期改定に向けては「次々期の2018年度診療報酬・介護報酬同時改定を視野に入れ何をすべきかを検討していく。今回の2014年度改定で足りない部分、議論を深めるべき部分などを検証データに基づき検討していきたい」と述べられました。さらに「次期改定では、2025年の社会保障・税一体改革に向け、地域包括ケアシステムの構築を一歩ずつ進めることが求められています。地域包括ケア体制の確立は地域全体のコンセンサスの下に取り組んでいくべき重要なテーマです。医療課だけでできる話ではなく、今回新設された医療介護連携政策課としっかり連携を取りながら、その一翼を担っていきたい。その際には、国民・患者の意見や医療関係者の意見をしっかり聞いて取り組んでいきたい」と述べられました。 「地域包括ケアシステムについては、病床機能分化と連携、主治医機能の強化、在宅医療の推進などの施策にブレークダウンして、取り組むことが必要です。医学・医療が進歩している中で、国民・患者が最先端技術を享受できるように制度を見直しながら発展させることが重要です」 との考え方も示されました。今回の2014年度改定で焦点となった7対1入院基本料や地域包括ケア病棟などについては、入院分科会などでの検証調査結果や地方厚生局への届け出結果を踏まえ、中医協で検討してもらう予定としました。
一方、DPC制度について宮寄課長は「DPCⅡ群がI群に準じると位置付けてきましたが、中医協での議論を踏まえ見直す方向で議論を進めていきます」と述べられました。次々期の2018年度改定で調整係数が廃止されることを見据え、激変緩和の対象病院への対応策などについても議論を進めていく必要性を指摘されました。
消費増税問題に関しては「税制全般の議論の中で、仮に10%に上げることになった場合、医療関連の取り扱いがどうなるのか。診療報酬での対応ということになれば、中医協で議論することになります」としました。診療報酬で対応することになった場合は「消費税引き上げに伴う医療機関の負担増に対し、どのように診療報酬で対応することができるのか、十分な議論が必要です。来年10月から10%にアップすることになれば、1 0月は消費増税に特化した対応となり、政策的改定については予定通り2016年4月になるのではないか」 と述べられました。
薬価改定については「10月の消費税改定時に行うことになれば、本改定の4月改定でも引き続き薬価調査を行うことは物理的に困難」と述べられ、「しかるべき時期に議論されるべき課題」としました。

厚生労働省の組織変更による改定作業の変化について宮寄課長は「改定率を政府が決め、基本方針を社会保障審議会の医療保険部会と医療部会で策定し、それらを受けて中医協で具体的な診療報酬点数等の議論をするという流れは従来通りです」としました。その上で「次回の基本方針の策定は、医療介護連携政策課が事務局を務めることになるのではないか。例えば医療と介疲にまたがるリハビリテーションなどについては、これまで医療課と老健課の当時者間で調整を進めてきたが、今後は医療介護連携政策課が保険局、老健局、医政局も見据えて全体を調整できる仕組みになる」と述べられました。

医療機関の安定的経営を支える診療報酬の在り方とありましたが、消費増税がその問題にいかに絡んでいくかが医療機関にとっては大きなポイントであります。消費増税による医療機関の負担増を診療報酬で対応するとなれば、結果として国民・患者の負担増に転換されることと考えると、果たして本当に国民の社会保障を維持するための消費増税になるのでしょうか。ただ診療報酬を見直し無しに消費増税だけが先行されると、多くの医療機関は地域の医療を守ることが困難になることは想像されますし、国はそこによるスリム化を狙っているのではないかと懐疑的にすらなってしまいます。








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