2014年8月7日木曜日

介議療養型医療施設の再編について

2015年度介護報酬改定に向けて、厚生労働省は8月7日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、介護療養型医療施設が担っている看取りやターミナルケア機能の確保策などについて具体的な論議をスタートさせます。医療療養病床 との間で看取りやターミナルケアの提供に違いがあるのか、などを論点として提示する方針です。厚労省老健局老人保健課の追井正深課長は、現行の介護療養病床が果たしている「役割」について、「廃止」ではなく「転換・再編」の方向で議論を進めていきたいとの考えを示しました。
迫井課長は「介護療養病床については、廃止という“制度上の位置付け"と 、現にある施設にどのようなサービスを提供・継続してもらうのかという“現実論"とは全く別の話です。その施設の建物をなくしたり、事業をやめたりするということではなく、あくまでも (老人保健施設などへの)転換や機能分化であり、厚労省の対応は当初から一貫して療養病床の“再編"だということを理解してほしいです」と説明されました。
介護療養病床については、2011年度末までに老人保健施設等へ転換することが決まっていましたが、2011年の通常国会で成立した介護保険法等の一部改正で、現存の介護療養病床は 6年間、転換期限を延長する、2012年度以降は介護療養病床の新設は認めない、介護療養病床から老人保健施設等への転換を円滑に進めるための必要な追加的支援策を実施―などの措置が取られました。





介護療養病床の今後の方向性をめぐっては、日本医師会の鈴木邦彦常任理事は、看取りの場として重要な役割を担っているとして廃止に慎重姿勢を示しています。
看護配置25対1の医療療養病床を持つ病院を会員に抱える全日本病院協会や日本医療法人協会なども強い関心を示しています。医法協の日野頌三会長は「時代背景を考えると、高齢者用の施設数を一定程度確保する必要があります。介護療養型医療施設については、できるだけ早く方向を示してほしいです」と指摘されました。全日病の猪口雄二副会長は「介護療養病床は医療現場で一定の機能を果たしています。今後の方向は、横断調査などの結果に基づき判断すべきです」と述べられました。両氏とも、介護療養病床の活用が必要との認識で一致しています。
一方、日本慢性期医療協会の武久洋二会長は「2014年度診療報酬改定では、7対 1入院基本料の要件強化に伴い在宅復帰率の導入が進められ、地域包括ケア病床だけでは受け止め切れない医療必要度の高い患者については、慢性期・療養病床で対応していかざるを得ない状況になることは必至です。急性期病床の締め付けで、患者の流れが大きく変わろうとしているだけに、もはや介護療養病床の廃止や存続の議論をしている段階ではありません」と述べられ、介護療養病床と慢性期医療を含めた再編の議論に移るべきとの認識を示されました。「今回の急性期の病床機能改革が医療・介護の連携につながるようにすべきです」とも述べられ、経過措置が切れる9月末に向けて、90日を超えて入院する特定患者などが大きく動き出すことを考慮した検討が必要と指摘しました。
その上で武久会長は「患者の流れの大きな変化に対応するには、地域包括ケア病棟の看護配置13対1を下回る看護配置15対1の一般病床と20対1の医療療養で既存の慢性期患者に対応し、慢性期患者の中で医療度の高い患者は“強化型療養病床"(重度長期慢性期病棟)として医療療養の20対1と25対1で診るようにすべきです。さらに要介護高齢者については介護療養25対1と30対1で対応するなど、慢性期医療と介護療養の在り方に関して抜本的な改編策を講じる必要があります」と述べられ、来年度の介護報酬改定だけでなく2016年度の診療報酬改定も視野に入れた論議が必要と指摘されました。

急性期の機能が大きく変われば、療養や慢性期医療に関わる流れも大きく変わることは想像に難くありません。7対1病床も大きく削減される中、在宅復帰についても促進が強まっていきますので、新設の地域包括ケア病床だけではまかなうことはできないでしょう。全体の適切な流れを大事にしながら、介議療養型医療施設の在り方というのが確立されていくのだと思います。しかし、社会保障費を抑制しなければならないという最大の課題をこなしつつ厚生労働省がどのような方向性を指し示すのかと考えると、あまり血の通った策が出てくる可能性も低いのが今のところの現状かもしれません。








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