2014年8月25日月曜日

介護療養型医療施設は看取りの場

社会保障審議会・介護給付費分科会の委員に新たに就任した日本医師会の鈴木邦彦常任理事は8月1日、2015年度介護報酬改定に向けた本格論戦を前に、本紙の取材に応じ、2017年度末に廃止が予定されている介護療養型医療施設について「重度の要介護者の看取りの場になっています。重度の方も看取りの数も増えていく中で廃止は難しいです。役割として機能が果たされているのであれば、廃止の見直しも必要になってくるのではないでしょうか」と述べられました。
特別養護老人ホームが「終の住処」とされているものの現状では十分にサービス提供できる体制ではないとも指摘されました。「既存資源として介護療養病床があるのだから、その活用はおのずと必要ということになるのではないでしょうか」との見解を示されました。介護療養病床は約7万床まで減少しているものの、転換先は介護療養型老人保健施設ではなく、医療療養病床や一般病床に転換している場合もあるとし「現場の実態を無視したようなことを無理やりやろうとしてもうまくいかないことの一つの証明です」と述べられました。







中医協委員も務める鈴木常任理事は、診療報酬改定と介護報酬改定の両方の議論に参画しておられます。2014年度診療報酬改定で医療機関に在宅復帰が求められることになったことを受け、介護サービス側の受け皿づくりが課題になるとし「介護保険の施設や在宅サービスの充実が必要です」と述べられました。
地域包括ケアの構築に向けては、医療と介護が連携し、重医療・重介護の人を介護保険の施設や在宅サービスでみることが必要になると説明されました。診療報酬と介護報酬が連携して、2025年に向けた改革を実行していくことが求められるとし、中医協と給付費分科会の両方に出席する立場から「両方をつなげて整合性を取れるような形で連携が進む発言ができればよい」と意気込みを述べられました。
特養での医療提供にも言及し、重医療・重介護の人が入所しているからといって、特養内のサービスを手厚くするのではなく、配置医師の役割を明確化した上で、それ以上の医療提供は「外付け」を中心に提供していくことが考えられるとしました。かかりつけ医機能を持つ中小病院や有床診療所の医師が、介護保険サービスも総合的に提供する在宅ケアセンターのようなものをつくることで、医療と介護の一体化が進むと提案しました。

介護療養型医療施設は国の社会保障費の抑制の方向性から鑑みると、間違い無くこれ以上の役割を求めることはないと考えられます。確かに、重度の方の看取りの場が不足するのではないかという見解はありますが、そこに社会保障費をつぎ込むことはないでしょう。だから在宅復帰であり、地域包括ケアなのだと考えられます。確かに現状の制度からのシフトでは歪みが生じることは想定されますし、そこに対するケアは必要になってきます。在宅ケアセンターを設立し医療と介護を一体的に進めることはとても利にかなっていると思います。ただそこで医療に従事する医師のマンパワーは明らかに超過でしょう。制度やしくみだけでなく、しっかり医療と介護の現場を見て検討していかなければ、機能していかないという助言を国に届ける人が必要です。








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