「30年にわたる私の公衆衛生分野の経験上、今回のような例はエイズだけだ」。10月9日、米ワシントンで開かれたエボラ熱対策会議で米疾病対策センター(CDC)の フリーデン所長は「エボラ熱が『第2のエイズ』にならないよう、今すぐ行動しなければならない」と訴えました。世界保健機関 (WHO)の10月15日の発表によると感染者は10月12日までに8997人に達しており、死者は4493人となりました。WHOは8月8日、エボラ熱拡大は「国際的な緊急事態」と宣言し、対策強化に乗り出しましたが、約2カ月後の現在も状況はむしろ悪化しております。WHOのエイルワード事務局長補は10月14日、1週間当たりの新たな感染者が現在の約1000人から12月上旬には5000~1万人に膨れ上がると指摘しています。感染が当初の想定をはるかに上回るペースで拡大していることを認めました。
最初は「医療の充実した国では危険はない」とされていましたが、米国やスペインで感染者が確認され患者が死亡しました。ドイツでもリベリアから移送された国連職員が死亡し、一気に動揺が広がりました。感染を警戒して人の移動が控えられ経済活動が停滞するとの懸念から、欧米や東京の市場で軒並み株価が下落しました。世界銀行のキム総裁は西アフリカ地域の経済損失が「2015年末までの2年間で計326億ドル(約3兆5000億円)に達する恐れがある」と警告しています。 WHOは12月上旬までに感染者の70%を治療施設に収容し死者の70%を二次感染 しないように埋葬する態勢整備を目標にしています。しかし感染が深刻なリベリア、シエラレオネ、ギニアはいずれも世界最貧国です。長年の内戦などで医療インフラは貧弱で、衛生環境も劣悪です。対応が鈍かった先進国もようやく連携と支援に本腰を入れだしました。オバマ米大統領は10月15日に安倍晋三首相と電話会談、国際社会の結束した対応を確認しました。各国首脳が集まる国際会議では今後、エボラ熱対策が最重要議題の一つになりそうです。
ここまで医療環境が整っている先進国でもエボラ熱患者の死者が出たことは、全世界的に脅威な事実です。我々日本の医療が、どのように対応することができるのか、解決の糸口がまだ見えぬ中で、まずは感染を抑えることを第一に取り組んでいくしかありません。
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