2014年10月28日火曜日

患者申出療養(仮称)の新設に向け、具体的な論点を厚労省が提示

 厚生労働省は10月22日に、中医協総会を開催し、患者申出療養(仮称)に関する議論などを行ったほか、再生医療等製品の保険収載に関して関連学会・団体から意見を聴取しました。患者申出療養(仮称)は、安倍首相が創設を決定した新たな保険外併用療養制度です。「困難な病気と闘う患者からの申出」を起点とする新たな仕組みで、具体的には「患者が最先端の医療技術等を希望した場合に、安全性・有効性等を確認したうえで、保険外の診療と保険診療との併用を認める」というものです。前例のない治療については、患者の申出を受けた臨床研究中核病院が、安全性・有効性のエビデンス等を添えて国に申請します。国が安全性・有効性、実施計画の内容を審査し、原則6週間以内に「保険診療との併用を認めるか否か」を判断します。一方、前例のある治療については、患者の申出を受けた「患者に身近な医療機関」が臨床研究中核病院に申請します。臨床研究中核病院が「当該医療機関で当該医療技術を行うことの安全性」を審査し、原則2週間以内に実施の可否を判断します。






 政府は、平成27年の医療保険改革の一環として「患者申出療養」を創設する予定を組んでおり、今冬にかけて中医協や社会保障審議会・医療保険部会で詳細な制度設計を検討する方針です。この日は、厚労省当局から「患者申出療養の実際の運用に係る論点」が提示された。大きく次の4つに分類されます。
(1)申請の対象となる医療
(2)協力医療機関
(3)申請手続き
(4)国における審査
(1)の対象医療については、「申請の対象は基本的に限定せず、一定の安全性・有効性が認められたものとする」「保険収載の見込みがないものは対象外とする」「先進医療の実施計画(適格基準)対象外の患者(年齢や合併症など)に対する医療も対象とする」「対象となった医療と、当該医療を受けられる医療機関はホームページで公開する」などの具体的論点が示されています。このうち「保険収載の見込みがないもの」について、判断が難しいのではないかとの意見が鈴木委員(日医常任理事)や白川委員(健保連副会長)から出され、厚労省保険局医療課の佐々木企画官は「たとえば美容医療などを想定している」と説明されました。
(2)の協力医療機関に関しては、「予め医療内容に応じて実施可能な医療機関の判断に資する類型を設定し、それを参考に臨床研究中核病院が個別に判断する(リスクの高い医療は臨床研究中核病院のみ、リスクが中程度の医療は臨床研究中核病院、特定機能病院で実施可能など)」「臨床研究中核病院は、実施希望医療機関の申請から原則2週間で判断し、判断後は速やかに地方厚生局に届出る」などの論点が提示されました。この点、白川委員をはじめ複数の委員からは「類型化は難しいのではないか」との意見が出されています。そもそも「個別の患者ニーズ」に対応する仕組みであるため、多様な医療技術が対象となり、リスクもさまざまである。こうした点を踏まえて具体的な協力医療機関の類型(どの医療機関で、どのような医療技術を行えるのか)を具体的に検討していくことになろう。なお、中川委員(日医副会長)は、「現行の臨床研究中核病院に限ると15施設しかなく、遠方の患者さんのアクセスが阻害される。患者ニーズに対応するために、特定機能病院に拡大することも検討すべき」との意見を示しています。
(3)の申請手続については、「臨床研究中核病院が、患者が実施を希望する医療について申出を受けた場合、必要な書類をそろえて国に申請する」「患者が、臨床研究中核病院以外の病院等に申出た場合には、臨床研究中核病院から共同研究の申請を行う」「国への申請にあたっては、『患者の申出が起点となっている』ことを示す書類を添付する」「臨床研究中核病院等は、エビデンスを用いて患者に十分説明し、患者が理解、納得したうえで申出することを前提とする」との論点を提示しています。本制度では「患者がリスク等を理解し、そのうえで申出る」ことが大前提となります。このため、中川委員は「かかりつけ医と患者の連名による申出書」を求めることを提案しています。
また、(4)の審査に関しては、「【患者申出療養会議(仮称)】を新設し、医学、実施計画、倫理などの各観点を担当する委員が審査したうえで、持回り審議も活用し、臨床研究中核病院の申請から原則6週間で判断する」「エビデンスが不十分などの理由で判断に時間のかかるもの、実施計画対象外の患者に関する審査は全体会議で判断する」「少なくとも年に1回は実績等について臨床研究中核病院から報告を求め、審議を行う」といった具体的な考え方が示されました。このテーマについて白川委員は、「『原則6週間』にとらわれず、安全性は慎重に判断してほしい」との要望を行いました。白川委員の意見には、堀委員(日歯常務理事)など診療側委員も賛意を示しています。なお、患者申出療養において副作用等が発生した場合の補償等について、先進医療や治験の仕組みを参考にしながら対応を検討していくことが厚労省の佐々木企画官から説明されています。

 患者申出療養(仮称)については、平成27年の通常国会への法案提出を目指し、今後も中医協等で議論を継続していくことになっておりすでに線路に乗ったところがありますので、今から大きな転換はなく進んでいくことでしょう。しかしそもそも、何故、患者申出療養(仮称)を導入しなければならないのでしょうか。保健診療に組み込める仕組みづくりを制定してはいけないのでしょうか。その方が、患者の負担は、保険適用分軽減されるはずです。まだ安全性・有効性がエビデンス等で明確になっていないから医療保険は適用は適用外、だけど国が認めたらその医療を受けて良い、というのは何か腑に落ちません。どうしても医療費を抑制する為に保険診療の適用範囲を広げないようにしていると見えるのは私だけなのでしょうか。今後、国民の医療に対する負担は大きくなっていくことは、避けられないでしょう。








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