2014年10月8日水曜日

医療勤務環境改善支援センター   厚生労働省

 厚生労働省は10月1日に、「医療従事者の勤務環境の改善等に関する事項の施行」に関する通知を発出しました。今年(平成26年)6月に成立した医療介護総合確保推進法では、「医療従事者の勤務環境の改善」等に関する事項(医療法改正)も盛込まれており、10月1日から施行されています。まず、医療機関の管理者には、医療従事者の勤務環境の改善等の措置を講ずる義務が課せられました。これに伴い、厚生労働大臣には措置を講ずるための指針策定、都道府県には医療従事者の勤務環境改善に向けた支援の実施、これらの事務を実施するための拠点確保が求められます。






 都道府県が行う事務は、大きく次の3点になります。
(1)医療従事者の勤務環境の改善促進(医療機関からの勤務環境改善に関する相談に応じ、必要な情報提供、助言、その他の援助、調査、啓発活動など)
(2)(1)の事務について、地域において医療に関する公益的な事業を実施する非営利法人等への委託
(3)医療勤務環境改善支援センターの確保

 このうちの(3)の医療勤務環境改善支援センターについては、まず、「都道府県が直営」することも、上記(2)のように委託することもできます。ただし、いずれの場合でも都道府県が主体的に関与し、都道府県医師会・看護協会・病院団体・社会保険労務士会・医業経営コンサルタント協会、都道府県労働局などの参画を得た「医療勤務環境改善支援センター運営協議会」を設置することが求められます。勤務環境改善にあたっては、医療機関の自主的な活動が不可欠なため、支援センターでは「各医療機関の管理者や医療従事者が勤務環境を改善する目的意識を共有し、参加型の改善システムによりPDCAサイクルによる取組み」を進めることが求められます。具体的な支援体制としては、次のような専門スタッフを配置することなどが求められます。
●医業経営アドバイザー(診療報酬面、医療制度・医事法制面、組織マネジメント・経営管理など医業経営に関する専門知識を有するアドバイザー、この経費は新たな「地域医療介護総合確保基金」を積極的に活用する)
●医療労務管理アドバイザー(社会保険労務士など、勤務シフトの見直し、労働時間管理、休暇取得促進、就業規則の作成・変更、賃金制度の設計、安全衛生管理といった労務管理面全般の知識を有するアドバイザー)
 また、上記のアドバイザーでは対応が困難なケースも想定できることから、次のような関係団体との連携をとる必要もあります。厚生労働省は、支援センターに「ワンストップ機能」「ハブ機能」を発揮するよう期待しています。
●女性医師バンク・女性医師支援相談窓口の相談員
●地域医療支援センター
●雇用均等指導員
●メンタルヘルス等に関する相談員
 さらに、「地域医療介護総合確保基金」や「職場意識改善助成金(労働時間等の改善・向上に取組む医療機関を対象とした助成金)」などの制度を活用することも要請しています。
 また、具体的な支援を行うにあたっては、「医療勤務環境改善マネジメントシステムの導入支援のための集合研修・説明会・ワークショップの開催」「各医療機関からの個別の相談対応」「各医療機関への訪問支援」などを行うことになります。厚生労働省は「個々の支援ニーズに応じ、柔軟な手法を講じる」よう求めています。都道府県では、可能な限り本年度(平成26年度)中に支援センターを設置することが求められているとともに、「勤務環境改善計画を平成26年度中に策定する医療機関の割合等」「支援センターの設置時期、設置方法等」などを盛込んだ年次活動計画を厚生労働省に提出しなければなりません。

医療従事者の勤務環境を改善し、働き方・休み方が改善され、働きやすさ確保のための環境整備が進められていくとのことですが、どれだけ都道府県の支援センターが各医療機関に入っていけるのか、実際に機能するには多くの障壁があると感じます。もしかすると労働基準監督署のように、労働者が労働上で起きた瑕疵に対する不平不満の窓口のような機能を担うのでしょうか。そのようなスタンスでなければ、なかなか各医療機関の中の本質的なレベルのところには立ち入れないのではないでしょうか。








ブログランキング参加中です
応援お願いします


にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ


0 件のコメント:

コメントを投稿