2014年10月22日水曜日

介護の実態 厚生労働省 介護報酬改定検証・研究委員会

 厚生労働省は10月16日に、社会保障審議会・介護給付費分科会の「介護報酬改定検証・研究委員会」を開催しました。前回の介護報酬改定(平成24年度改定)に関する調査結果(速報値)が報告されました。 介護報酬についても「改定の効果・影響を調べ、次回改定に活かす」プロセスが平成24年度改定から導入されました。介護報酬は3年に1度改定されることから、その効果等の調査・分析は(1)影響が出やすい報酬項目は平成24年度に調査を実施する(2)影響が出るまでに一定程度の時間がかかる報酬項目は平成25年度に調査を実施する(3)改定の影響が出るまでに相当の時間がかかる報酬項目は平成26年度に調査を実施する―という3段階に分けて行われます。今回の速報値は、(3)の平成26年度調査によるものです。






 平成26年度調査では、次の7テーマについて調査・分析が行われました。
(i)介護保険制度におけるサービスの質の評価 (ii)集合住宅の入居者を対象としたケアマネジメントの実態 (iii)複合型サービスにおけるサービス提供実態 (iv)介護老人保健施設の在宅復帰支援 (v)介護サービス事業所における医療職の勤務実態、および医療・看護の提供実態 (vi)リハビリにおける医療と介護の連携 (vii)中山間地域等における訪問系・通所系サービスの評価のあり方、の7項目です。
 このうち、(iv)の「老健施設における在宅復帰支援」については、平成24年度改定では、老人保健施設を(a)在宅強化型(在宅復帰率50%超など)(b)加算型(在宅復帰率30%超など)(c)通常型―の3つに区分しました。これにより在宅復帰や在宅療養の支援を強化することが期待されています。今回の調査では、(c)の通常型が全体の4分の3を占めており、(a)在宅強化型や(b)加算型へのハードルが高いことが伺われます。区分別の在宅復帰率を見てみると、(a)の在宅強化型では59.2%であるが、(c)の通常型では18.1%にとどまっている状況です。在宅復帰が困難な理由(複数回答)としては、全区分で「自宅で介護できる親族がいない」がもっとも多く、約80~90%を占めていました。また、在宅復帰が困難な入所者本人のうち約20~30%が「自宅への退所」を希望しているが、家族では約4~9%しか「自宅への退所」を希望していないという現状もありました。ところで、通常型では「医療ニーズが高い」ために在宅復帰できない入所者も70%以上いることがわかりました。在宅復帰を推進していくためには、社会的入院ならぬ「社会的介護」への対応や、医療機能の強化が重要テーマとなってくることがわかります。ちなみに、各区分において、在宅復帰が困難な入所者の「要介護度」「認知症高齢者の日常生活自立度」別の割合に大きな差はありませんでした。
(vi)の「リハにおける医療・介護連携」に目を移すと、次のような結果が示されました。高齢者リハの見直しに向けて検討が進められているが、「活動」「社会参加」に向けたリハの実施は少数にとどまっている実態が浮彫りとなっていました。
●リハ職員が提供しているリハの主な目的は「心身機能維持」が47.1%、「心身機能回復」が14.2%で、あわせて6割超が「心身機能関連」となっています
●リハの実施内容は、「筋力トレーニング」86.6%、「関節可動域訓練」74.2%、「歩行訓練(屋内)」71.2%という具合に、心身機能訓練関連が多い
●「排泄・入浴などのADL訓練」は8.2%、「社会参加訓練」は2.2%にとどまる
●利用者のリハ継続理由を見ると、「身体機能を治したい」79.0%、「筋力・体力をつけたい」75.7%が目立つが、「移動や食事、入浴や排泄などの動作ができるようになりたい」56.0%、「社会的活動をできるようになりたい」42.3%も少なくない
●身体機能やADLの今後の見通しについて、「説明を受けた」利用者は52.6%でした
●リハ終了後の生活等に関連し、利用者の6割以上が「定期的に開催される地域の体操教室や趣味活動の集まり」を知らない、あるいは名前を聞いたことがある程度という状況でした。

来年度は介護報酬が改定されますが、一律6%ダウンなどいろいろな話が飛び交っています。その中でいかに社会保障費を抑制するかというのは、国としての命題です。このまま増加一方で財政を圧迫し続けてはなりません。ただ、医療費を抑制する為には、介護の役割の機能を高めることが一つあると思います。それは分かりつつも、介護の実態としては、本当に利用者のADLが回復しているのか、在宅復帰に向けた取組みが行なわれているのかということが重要な問題です。しっかり取り組んでいるところには厚く、そうでないところに対しては薄くと、傾斜的に配分することが一番効果が上がるのではないかと感じます。








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