2014年7月28日月曜日

病院運営の岐路  病床機能分化と消費増税

日本病院会の堺常雄会長は7月16日、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれている国際モダンホスピタルショウ2014のオープニングセッションで講演し、「4月の診療報酬改定などを踏まえ、地域包括ケア病棟 (病床)の選択など9月時点で病院が大きく変わっていくのではないかとみています」と述べられました。その上で「われわれに制度改革からの逃げ場はありません」とも述べられ、それぞれの地域ニーズを見極めた病院の選択と決断を促しました。
病床機能分化の受け皿としての地域包括ケア病棟(病床)について堺会長は「全日本病院協会は、会員の3分の1が地域包括ケア病床に動く可能性に言及されている。日本慢性期医療協会も療養からのアップを目指している」とした上で、「日病の会員病院においても、地域ニーズがあれば地域包括ケア病院の建設にいくつかの病院が動くとみています。地域ニーズが鍵になるのではないでしょうか」と述べられました。「“地域"に着目した制度改革について正しい方向に向かっていると認識しています」とした上で、「地域格差の拡大のほか、首長の権限や仕組みが適正に機能しているか注視しなければなりません」とも述べられました。






地域包括ケア病棟(病床)の対象患者について堺会長は「財政制度等審議会の分科会で高橋泰氏(国際医療福祉大教授)が、治療を目的とする0~74歳の医療と、必ずしも治療を目的としない75歳以上の医療を分けて、地域包括ケア病棟は75歳以上が必要とする病床に位置付けるよう提言しているが、誰がどう判断し、選択していくのかが不明瞭です」と疑問視しました。「地域包括ケア病棟は、診療報酬上の病床機能分化であり、急性期医療を行うには診療報酬点数だけではおそらく不十分ではないでしょうか」とも述べられました。

一方、2015年度の税制改正要望について日病は「税を診療報酬で手当てすることの矛盾を解消すべき」との基本的考え方から、「多額の控除対象外消費税を負担せざるを得ない現行制度を改めること」を求めていく方針です。堺会長は「聖隷浜松病院でも税率5%時点で控除対象外消費税は4億円、8%になって7億円にアップする見通しです。7億円を経常利益として確保することは極めて大変です。これが10%になることを考えると経営的に大きな影響を受けることは必至です」と述べ、消費税問題は病院関係者にとって重要課題と受け止めていると強調しました。
予定通り2015年10月に消費税率が10%にアップする場合について、堺会長は「政治がどう決定するかにもよりますが、診療報酬を使うとなれば次期診療報酬改定の前倒しの可能性はあります」と注意を促しました。
堺会長は「日病は6割が民間病院で占め、中小病院の会員も多いです。従来の公的病院・大病院の団体というイメージではなく“オールジャパン"で活動を展開していく」と述べられ、日病も変わっていくとしました。「厚生労働省の組織改編で医療介護連携政策課がつくられました。十分機能してくれることを期待しています」とも述べられ、行政とも連携しながら日病としての役割を担っていくとしました。


診療報酬の改定により、これまで多くの病院が7対1病床を届け出しておりましたが、このままでは7対1病床から落ちてしまう可能性が高い現実です。また来年度10月に消費税が10%となれば、利益を大きく圧迫する中で、健全な経営をするためには、病院の機能と方向性を見定めて変革していかなければなりません。中には運営が成り立たなくなる病院も出てくるのではないでしょうか。消費税10%のシミュレーションをしてみれば、どこも厳しい状況を予測しているはずです。国は医療は維持していかなければならないと考えていますが、既存の病院を守らなければならないとは考えていない制度・政策に思えて仕方ありません。その中でいかに生き残るか、各理事長の先見性と経営手腕が発揮されると思います。






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