2014年7月30日水曜日

懸念される病床機能転換の駆け込み

地域の中核的な急性期病院が「地域包括ケア病院」を設置する動きについて、日本医師会の中川俊男副会長 (中医協診療側委員、社会保障審議会、医療部会委員)は「来年4月施行の地域医療構想 (ビジョン)の議論を行う前の段階で、平均在院日数の短縮化による空床化対策のために地域包括ケア病棟 (病床)へ“駆け込み病床機能転換"をする動きに懸念を持っています。病院関係者には節度ある対応をお願 いしたい」と述べられました。「今後、地域で立ち上げる“協議の場"で地域医療ビジョンを議論し、地域ニーズに沿った形で病床機能転換を進めることが第6次改正医療法の趣旨であることを、ぜひ考慮してほしい」とも話されました。






中川俊男副会長は 「2014年度診療報酬改定と地域医療構想の整合性を確保することが極めて大事な課題です。中医協でも大事な課題として議論していくべきです」と指摘しました。その上で「例えば急性期の経営体力のある病院が、空床化対策の一つとして新たに地域包括ケア病棟を届け出てしまうと、地域によっては、その役割を担おうとする中小病院が届け出ようとしたときに空きがないという事態も想定されます。今回の医療法改正は、地域の実情を考慮し、医療提供体制を協議しながらつくっていこうとする法律であることを強調しておきたいです」と述べられました。
中川俊男副会長は「各病院が地域における疾病構造の変化や患者数の減少などで空床化に苦心し、さまざまな経営努力をされていることは十分理解しています。日本医師会は、平均在院日数の短縮は限界だと一貫して主張してきました。今回の改定でも、施設基準の平均在院 日数の基準は変更していないし、次期改定でも平均在院日数の短縮は認めない」と強調されました。「今後は平均在院日数が短くなるのではないかと自己判断し、それを見越した機能転換をするのではなく、地域内での協議を大事にしてほしい」と述べられました。
2014年度改定では、いくつかの項目が 9月末日を経過措置の期限としています。中川副会長は「7対 1入院基本料の『重症度、医療・看護必要度』や自宅等退院患者割合、特定除外の見直しなどの経過措置が問もなく切れます。中医協は早急に改定の影響を把握し、緊急に対応すべき点があれば議論しないといけない」と述べられ、7対1の要件強化が地域医療にどう影響しているのか緊急に把握するべきとしました。
8月の基本問題小委員会では「患者申出療養」を議論すべきとも指摘されました。規制改革会議が提案した「選択療養」からは改善されているものの、議論を逆戻りさせないよう留意することが重要とし、名称も含めてしっかり議論していくことが必要としました。


過剰に増えてしまった7対1の急性期病院を削減するために国は大鉈を振った方針を打ち出した今回の診療報酬改定ですが、7対1の急性期病院にとって今回を乗り切れば安泰とは悠長に思っておらず、このまま急性期として進むのか、地域包括ケア等に機能を転換させて地域に残る病院となっていくのか、判断は難しいと思います。おそらく今回の方向性を誤まって閉鎖に追い込まれてしまう病院も全国的に出てきてしまうでしょう。国は倒産する病院も多少は考慮に入れていると思います。ただ全国的に大幅に病院が減少してしまうことはこれから超高齢化へと進んでいく中で、地域の医療を維持できなくなるリスクがあるので避けたいと考えております。だからこそHD法人として地域でお互いが支え合いながら、ほどほどにやっていくように。というのが全体のシナリオではないかと感じて仕方ありません。医療や福祉はそれほど杓子定規に図って整備できる業界ではないはずです。多くの民間病院が採算度外視で救急医療などを担ってきました。多くの医師が、過労に次ぐ過労でも患者と向き合ってきました。そのあたりのハートの通わせた業界であること、またハートが通わなければ到底成り立たない業界であることを、ご理解頂くにはまだまだ隔たりを感じる今日この頃です。





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