2014年7月28日月曜日

究極のかかりつけ医

日本医師会の横倉義武会長は7月19日、岐阜市で開かれた全国有床診療所連絡協議会総会で講演されました。有床診は外来と入院を切れ目なく提供できる「究極のかかりつけ医」として期待されていると説明され、地域包括ケアシステムの中で重要な役割を担う存在だと期待を示されました。また、日医は有床診が今後も地域で確実に役割を果たせるよう協力する意向を示されました。
横倉義武会長は「地域包括ケアシステムと有床診療所」のテーマで壇上に立ち、「わが国の人口動態の変化に合わせて新たな地域社会の構築、まちづくりが求められています」と言及しました。その上で有床診は外来と入院の切れ目がない「究極のかかりつけ医」となり、地域包括ケアの中で医療をきめ細かく支える重要な役割が期待されていると説明されました。「今後はその期待に応えていくことが必要です。介護サービスを含めた医療・介護を包括的に提供できる体系としても地域に貢献していくべきではないか」と呼び掛けました。







病床機能報告制度で有床診が報告する「病床の役割」については①病院からの早期退院患者の在宅 ・介護施設への受け渡し機能②専門医療を担って病院の役割を補完する機能③緊急時に対応する医療機能④在宅医療の拠点としての機能⑤終末期医療を担う機能―の5つから選択(複数可)することを挙げ、「それぞれの有床診が自院の機能を示し、それらが地域医療ビジョンに反映されることが重要です」と述べられました。地域医療ビジョンの中で各地域の有床診の位置付けや役割、機能を明確にして人員強化も図るべきとも述べられ、「日医として引き続き支援していきたい」と協力を約束しました。
日本医師会の鈴木邦彦常任理事はこれからの有床診に期待する取り組みとして、介護保険分野への積極的な関与を挙げられました。鈴木常任理事は今後の有床診について「地域での立ち位置をどのように確立するか」という側面がポイントになると指摘しながら「有床診は、かかりつけ医機能を持ち、入院機能もあります。地域包括ケアの中で重要な役割になります」と述べられました。さらに 「介護の需要は医療よりもはるかに増えます。有床診の活躍が期待されます」 として、介護保険分野への積極的な進出を促しました。
日医総研の江口成美主席研究員は、有床診の収入の約3分の2が外来であることから「今回の診療報酬改定で点数がついた『主治医機能』にしっかり取り組むことが生き残りへの基本ではないでしょうか」と説明されました。入院については「稼働していない病床があるので、しっかり動かしていけるようになることも重要です」と説明されました。

これから地域で診ていく地域包括ケアが構築されていけば、かかりつけ医である開業医の主治医の役割というのは、非常に大きなものになっていきます。ゆるやかなゲートキーパーなどと言われていますが、国の方針としてはギュッとそこで絞めて、病院には行かずに完結させることで医療費を少しでも抑制したいというのが本音でしょう。但し患者も入院したいと思っている方はごく一部です。生活出来る環境が整っているのなら自宅で過ごしたいと思っているのです。そこでどうしても症状が悪化した場合には、有床診で短期的に診てもらえたらと望んでいます。確かにそこだけ見れば理想的ですが、「究極のかかりつけ医」である有床診の開業医にとっての負担は大きすぎるモノです。しっかり全体を診た上での方向性を示して頂かないと一部に極度の負担がかかってしまうと、地域包括ケアは実現できない夢物語となってしまわないか危惧します。






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