2014年7月15日火曜日

介護老人保健施設の実態 在宅復帰

一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構は、「介護老人保健施設の在宅復帰支援に関する調査研究事業(結果概要)」を発表しました。調査では、介護老人保健施設サービス費の在宅強化型を算定する施設は7.3%で、入所者に占める「退所見込みあり」の割合は全体の26.2%に対して、51.2%にのぼること等が明らかになりました。

調査では、2012年度介護報酬改定効果検証事業として社会保障審議会介護給付費分科会から委託を受けた同機構が調査を実施しました。在宅復帰・在宅療養支援機能が期待される介護老人保健施設において、長期入所者の周辺環境の実態、在宅復帰を阻害する原因を検証し、時期介護報酬改定の基礎資料を得ることを目的としました。全国の介護老人保健施設3831施設のうち、2050施設から回答を得ました。(有効回収率53.1%)






2013年7月~9月の介護老人保健施設の在宅復帰率・ベッド回転率の状況を見ると、在宅強化型老健の算定要件となる在宅復帰率50%超の施設は15.8%、ベッド回転率が10%以上の施設は32.6%となっています。
同一・関連法人で訪問看護ステーションや訪問リハビリテーション等の訪問サービスを運営する施設や、入所時のアセスメントを「積極的に行なう」と回答した施設の在宅復帰率50%超の割合は、それぞれ22.3%、26.0%と高い傾向にあります。一方、ターミナル対象者が多い施設では、ベッド回転率がやや低くなっています。
入所者の退所見込みの状況については、全施設の入所者に占める「退所見込みあり」の割合は26.2%、「退所見込みなし」の占める割合は53.5%と半数以上にのぼります。「退所見込みなし」の内訳として、「本人の状態像が課題」(19.7%)に比べて「退所採機や退所後の生活が課題」(33.8%)の割合の方が高くなっています。
なお、在宅強化型を算定する施設の「退所見込みあり」の割合は51.2%、在宅復帰・在宅療養支援加算を取得する施設では、40.7%、それ以外の施設では20.3%でありました。
退所見込みが無い入所者の状況については、本人の状態像が課題であるケースは、要介護度の高い人、認知症が重度の人、常食を摂取できない人の割合が高いです。一方、退所先が課題のケースでは、世帯構成が独居である割合は34.2%で、独居世帯で自宅に退所見込みの入所者18.0%のほぼ倍となっています。
老健退所後の状況を見ると、自宅退所者の11.8%、医療機関退所者の34.5%は1~3カ月以内に元の施設に戻っています。また、医療機関からの入所者が自宅に退所する割合は12.4%と少なく、なかでも過去に同一施設に入所したことがある人(再入所者)の退所先は自宅5.6%、医療機関70.5%であり、自宅復帰者が少なくなっています。
2013年9月時点の報酬算定状況を見ると、在宅強化型老健は7.3%、在宅復帰・在宅療養支援加算取得老健は18.2%、それ以外の老健が74.5%でありました。
2012年介護報酬改定前後での在宅復帰支援への取り組みの変化ついては、在宅復帰支援に熱心な施設が増えているものの、現在「在宅復帰支援に熱心とはいえない」と回答した施設は33.2%(改定前53.9%)にものぼりました。理由として、「在宅サービスが不十分」、「重度療養の利用者が多い」、「在宅生活が可能な人はリハビリ病院から直接在宅復帰しており、入所希望者は在宅復帰が困難なケースが多い」などがあげられていました。

在宅復帰は介護施設に限らず病院等の医療機関でも大きく掲げられた課題ではありますが、現実的に在宅復帰させたら良いという問題でもありません。在宅復帰した後、生活が送れるかどうかが課題であり、高齢・重介護・認知となると、介護者が家族内にいればまだ対応できるかもしれませんが、独居や老老介護ではその限界があります。在宅復帰を目指すことは重要ですが、その環境づくり・整備が進まない限り、本来目指すべき体制には近づかないのではないでしょうか。






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