2014年7月1日火曜日

非営利ホールディングカンパニー型法人制度について

厚生労働省は6月27日、「医療法人の事業展開等に関する検討会」(座長=田中滋・慶応大名誉教授)を開き、「非営利ホールディングカンパニー型法人制度 (仮称)」の創設に向けた議論を再開しました。6月27日は厚生労働省が、主な論点と非営利ホールディングカンパニー型法人の活用モデルとして3つのイメージ例を示し、意見を求めました。委員からは、非営利ホールディングカンパニー型法人の意思決定に関し、社員総会などの議決権は各法人の規模や出資額などに応じて差異を設けるべきではなく、1法人1票であるべきとの意見が複数出ました。




厚生労働省は非営利ホールディングカンパニー型法人の意思決定について、方向性を示すわけではないと前置きした上で、1社員1票は原則とするものの、議決権に関して定款で定めることができるようにして流動性を確保する、議決権の流動性に一定の制限を設けるため、定款で定めることができる範囲などを法律で規定する、との案を示しました。
委員からは「立ち位置の違う医療法人が平等に発言できなくなるのは問題がある」(山崎學委員=日本精神科病院協会長)、「1社員1票という根本的な考え方はどうしても譲れない。いわゆる出資額に応じるようなことは、やめていただきたい」(今村定臣委員=日本医師会常任理事)、「非営利性を堅持する前提を付けるなら、1社1票にならざるを得ない」(松原由美委員=明治安田生活福祉研究所主席研究員)など、あくまで1社員1票の原則を貫くべきで流動性を確保する必要はないとの意見が相次ぎました。
これらの意見を受け厚生労働医政局の梶尾雅宏指導課長は「(議決権について)出資額に応 じるだけではなく、事業内容に応じるなど、違うやり方があり得るのか、幅広く議論していただきたい」と述べられました。
非営利ホールディングカンパニー型法人の地理的な活動範囲について厚生労働省は、広域な地域で医療機関を展開する法人グループのように経営規模の拡大を後押しするものではなく、設立主体の異なる医療機関などが特定の地域を面的にカバーするために連携を図る仕組みを想定していると説明しました。その上で、非営利ホールディングカンパニー型法人に参加する法人の施設や事務所などが一定の地域に存在することを求める「地域要件」を設けるべきか検討を求めました。今村定臣委員は「地域医療ビジョンの区域とするのが最も妥当な考えです」と述べられました。


厚生労働省が示した主だった論点
【法人の在り方】
①社員となる法人の独自性を保証しながら非営利ホールディングカンパニー型法人の意思決定を共有するための制度的な仕組み
②社員間で資金を融通する仕組み
③非営利性を確保するための方策
【事業の在り方】
④非営利ホールディングカンパニー型法人の地理的活動範囲を定める地理的要件を設けるべきか
⑤制度創設の目的に従って設立・運営されることを確認するための仕組み
⑥透明性や適正性を確保するための方策
⑦制度の正式名称


厚生労働省が提示した3パターン
【自治体中心型】都道府県や市町村が域内の医療法人らに呼び掛けて設立する形。地域医療構想や医療計画、介護保険事業計画との整合性を図りながら、病院・病床機能の再編、地域包括ケアシステムの構築を円滑に進めるための手法として期待できるとしている。必要に応じて自治体が出資するほか、自治体幹部が理事となることも想定。
【中核病院中心型】社会医療法人や大学付属病院を経営する法人など、地域で急性期医療などを提供し中核的な役割を果たす医療法人が、回復期や在宅医療を担う医療法人などに呼び掛けて設立する。中核病院の信用力に基づき資金を確保・投資して、地域で効率的な医療提供体制を構築することを想定。
【地域共同設立型】都道府県・都市区医師会が中心。共同購入や医療機器の共同使用などにより中小医療法人の経営効率化を図るほか、経営の厳しい医療法人の受け皿機能を担い得る。自治体を巻き込み、出資などの支援を引き出す ことも想定。
 

非営利ホールディングカンパニー型法人制度は、地域包括ケアを構築するための鍵となっております。機能を分化して、いかに地域で複数の法人が協働・協力で共存していくかが課題です。その非営利ホールディングカンパニー型法人制度のしくみとルールをしっかり構築しておかなければ、実現は困難です。ただ、議決権については1法人1票が本当に良いのか。平等を建前に規模などを無視して1法人1票とすると、政治ではありませんが党や派閥などの小組織が形成されて、組織対組織という構成に陥るのではないかと懸念材料も感じます。







ブログランキング参加中です
応援お願いします
にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ

0 件のコメント:

コメントを投稿