2014年7月11日金曜日

地域包括ケア病棟へのシフト 全日本病院協会

全日本病院協会(西澤寛俊会長)は、6月から実施している地域包括ケア病棟に関する会員病院のアンケート調査で、7月8日までの集計結果では、地域包括ケア病棟入院料か地域包括ケア入院医療管理料を既に届け出ているのは545病院中44病院(8.1%)だったと発表しました。届け出を予定している病院を含めると205病院(37.6%)に達しました。

全日本病院協会が7月9日に東京都内で開催したセミナー後の記者会見で、西澤寛俊会長が明らかにしました。さらに西澤寛俊会長は、「会員の半分近くが該当するなら当然、全日本病院協会の事業として重点的に取り組まなければいけない」は 「地域包括ケア病棟・病床は全日病会員が引っ張っていくのではないか。今後、会員病院が意見交換できる場の設置も検討したい」とし「届け出病院のニーズを十分吸い上げていきたい。施設基準の解釈をめぐる質問は後を絶たない。協会としてもできるだけ対応していきたい」と述べられ、全日本病院協会員内で地域包括ケア病棟入院料などを届け出る病院と届け出を予定する病院とが意見交換する場を設けたり、全日本病院協会として必要な診療報酬上の評価を要望したりしていく考えを示されました。







 アンケートでは、地域包括ケア病棟入院料(病棟単位)を20病院、地域包括ケア入院医療管理料(病室単位)を24病院が、それぞれ既に届け出ていると答えました。また今後の届け出を予定している病院は入院料が66病院、管理料は95病院で、合わせて205病院が地域包括ケア病棟(病室)への参入を決定しています。 9月31日で廃止される亜急性期入院医療管理料を届け出ている約400病院からの移行も考慮すると、最終的には約800病院が届け出を検討する可能性があるとの認識を示 しました。

 許可病床が200床未満の場合、全病床で地域包括ケア病棟入院料を届け出ることもできますが、20病院の中にそういったケースはありませんでした。また、療養病床で地域包括ケア病棟入院料を届け出ているのは1病院のみでした。

 地域包括ケア病棟の評価は、2014年度診療報酬改定で新設されました。急性期治療後の患者を受け入れて在宅復帰させるポストアキュート機能や、在宅療養中の患者が急性増悪した際に受け入れるサブアキュート機能などが期待されています。

 ただ、猪口雄二副会長は、包括評価の地域包括ケア病棟入院料と地域包括ケア入院医療管理料では、急性増悪した患者に投入する医療資源の費用を賄うことが難しいと指摘されました。「(地域包括ケア病棟を持つ病院が)増悪した患者を直に受けるかというと、厳しいと思っている」とした上で、「受けるためにはどういう診療報酬設定が必要だ、ということを要望していくのが(全日本病院協会の)仕事である」と述べられました。また、「地域包括ケア病棟・病床だけに目を向けるのではなく、病院としての地域での立ち位置などをきちんと把握することが必要。今後、地域の中で個々の病院がどういう流れをつくっていくかが大事だ」と述べられました。

地域包括ケア病棟へのシフトが騒がれていますが、急性期からまたは療養からシフトしても決して安泰というわけでは無く、いかに地域でその役割を果たしていくかと考えると、他病院と連携を持って体制を構築しなければ行き詰まることが予想されています。猪口雄二副会長のおっしゃるとおり、増悪した患者をどのように受け診ていくのか、どこも万全の体制が整っていないが故に患者を「たらいまわし」にしてしまうような事態だけは避けなくてはなりません。ただ、自病院が最適であるといった自負を持って診ていけるかどうか、近隣の病院の状況についての認識を深めておかなければならないなど、各病院は取り組まなければならないことが山積みです。







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