2014年7月13日日曜日

医療療養25対1廃止へ 介護療養病床の行方

厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓課長は「平成30(2018)年に介護療養病床 (看護配置30対1、医療法では6対1に相当)の経過措置が終わることに伴い、医療法の経過措置も終了し、療養病床の看護配置は20対1(医療法では4対1に相当)以上になります。25対1(医療法では5対1に相当)の病院は、今から病院としての将来的な方向を見極めて対応していくことが必要です」と述べられました。
宇都宮課長は「今回の改定では、あまり長期療養に触れていません。しかし今一番大事なことは、介護療養病床は平成30年に廃止されることになっている点です」と説明されました。介護療養病床は06年の介護保険法等の一部改正で廃止が決まり、その後、12年3月31日時点で介護療養病床として残っている病床は、例外的な経過措置として6年間存続を認めることになりました。医療法上の療養病床の看護配置は20対1となっていますが、介護療養病床の経過措置に併せて6年間は25対1や30対1も認められています。現在、療養病棟入院基本料は20対1と25対1の2種類ありますが、経過措置が終了すれば25対1の医療療養病床は存在できなくなります。
宇都宮課長は「4年後の廃止に備え、来春の介護報酬改定では介護療養病床に対して、2年 後の診療報酬改定では25対1に対して何らかの対応がなされるでしょう」との見通しを語られました。こうした情勢の下で行われた14年度診療報酬改定については「選択肢として、療養病床でも1病棟限定ながら地域包括ケア病棟入院料を取れるようにしたり、療養病棟入院基本料1(看護配置20対1)であれば在宅復帰機能強化加算を取れるようにするなど、より高い看護配置への方向性はある程度付けました」と説明されました。「ただ、療養病棟入院基本料2(看護配置25対1)自体については特に触れなかった」とも述べられました。慢性期医療は、10月にスタートする病床機能報告制度の対象となっているだけに、今後、病院としての立ち位置について決断を迫られることになると述べられました。
10年時点での厚生労働省の調査によると、療養病棟入院基本料1(20対1)が9万9413床なのに対し、入院基本料2(25対1)は11万760床と、入院基本料2の方が多い状況となっています。






医療療養病床の行方について日本慢性期医療協会の武久洋二会長は、厚生労働省が実施する介護療養病床と医療療養病床の横断調査に触れながら「介護療養と医療療養25対1の入院患者像が似ているということになれば、効率的な運用を求められるのではないか。一方、医療療養20対1については医療区分2と3が80%となっており、重症度の高い患者に対応 をしている」と述べられました。


病床機能報告制度については、7対1の急性期病棟の動向ばかりが注目を集めておりますが、介護療養病床の動向も地域での機能分化という意味では非常に大きなポイントであります。おそらく多くの病院は、医療療養病床へとシフトすることを中心に検討されていると思いますが、中には、地域の状況も鑑みて地域包括ケア病棟も視野に入れている病院もあると思います。ただどちらにしても体制の強化が急務であり、既存の職員の意識改革も避けては通れない事項だと思います。また制度の見直しは決してこれで完結ではありませんし、今後更なる効率化・適正化が求められてきます。そのときに地域でイニシアチブがとれるよう、先見の明を持って改革に挑む勇気が試されている時期だと感じます。






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