2014年7月4日金曜日

医療事故調査制度のガイドライン策定へ動き始める

医療事故調査制度の具体的な運用に向けて厚生労働省が策定するガイ ドラインにつなげる基盤研究が動き出しました。厚生労働科学研究の指定研究 「診療行為に関連 した死亡の調査の手法に関する研究班」で、研究代表者は全日本病院協会の西澤寛俊会長が務めています。 日本医師会など医療職能団体のほか、病院団体など医療関係団体や、学会、患者団体、法曹界などか ら約30人が研究協力者 として参加 しています。西澤寛俊会長は6月6日 、「今国会で審議中の医療事故調査制度は、全ての医療機関に医療事故調査を義務付けるものです。調査結果は医療事故の再発防止につなげる制度であり、個人の責任を追及するものではありません。医療の安全と質の向上を図るために重要な制度 と考えています。」 との基本認識を示 しました。





その上で「法案では制度全体のスキームが規定されているが、それを実行するための医療事故のイメージや、調査の具体的な内容、第二者機関の具体的な内容 ・形態 ・業務、再発防止策に関する普及 ・啓発など、制度を運用する上での検討課題が残っている。」として、「医療事故についてはこれまで、日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業や、日本医療安全調査機構の診療関連死の調査分析モデル事業がある。 これらの検討成果や多くの研究協力者の意見を聞いて検討を進めていく」と述べました。

また西澤寛俊会長は「現在は法案の審議中であり、医療機能評価機構や医療安全調査機構の成果について認識の共有化を図っている段階だ。法が成立後に、法律に基づいて具体的なガイドラインにつなげる検討に入っていく」と説明しました。 「研究班の検討成果は、法成立後に厚生労働省が策定するガイドラインの参考資料として活用されることになるだろう」と述べました。

厚生労働省の 「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」では、ガイドラインで策定すべき事項として、院内調査 (死亡事故発生から届け出まで、院内調査の具体的な方法、支援団体の在 り方)。 第二者機関への届け出に関する事項。遺族に説明する医療事故調査制度に関する内容。医療機関が保管する資料と扱い、などが挙がっていました。西澤寛俊会長は 「実効性が高く、中立で公平で、透明性、専門性が高い医療事故調査が、全国の医療機関で実施できるようにしたい。死亡事故の再発防止を確保し、国民、医療提供者が共に安心できる事故調査制度を検討していくことが必要だ」と述べました。

そんな中、厚生労働省の原徳壽医政局長は6月5日の参院厚生労働委員会において、羽生田俊氏 (自民党)の 質問への答弁で、医療事故調査制度で医療事故の対象とする死産の定義について 「妊娠中に診療 ・医療行為も行われるので、万が一、予期 しなかったけれど死産 した場合には、対象にな り得るものもあると考えている」 と説明 しました。一方で 「人工死産は当然含まれない」としました。医療事故調の創設は、参院厚労委で審議中の医療 ・介護の一括法案に盛 り込まれています。原医政局長は「死産に限らず、医療事故をどう考えるのかということがある。具体例を含めながら、ガイドラインの中でしっかり判断してもらえる形で示 していきたい」と語りました。

医療事故によるトラブルはなかなかゼロにはなりませんが、各病院とも院長をはじめに注意勧告、啓蒙活動からインンシデント報告・ヒアリハット報告など取り組んでいない病院は無いと言っても過言ではありません。確かに人命を預かる場所であるので、最新の注意を持ってすべてに取り組まなければなりません。先日の参議院本会議の厚生労働省の趣旨説明のような人的ミスがあってはなりません。ただし、病院内でお亡くなりになられる方も当然多くいらっしゃります。その方々に医療が適切に行なわれていなければなりませんし、過誤によって死亡にいたるようなことがあってはなりません。

ただ、そのための手段・方法が医療事故調査制度であるというが、正しい選択かと言われると、賛同しかねる部分があります。品質管理・品質改善などというフレーズも耳にすることが多いのではないでしょうか。もちろんそれらは医療機関に限ったことでは無く、工場など多くの生産部署では安全第一にならんで掲げられているのではないでしょうか。掲げることが目的ではありませんが、質を改善し担保されている状態を維持するためには各職員一人ひとりの自発的な意識改革が必要であるわけで、それを医療事故調査制度というものでは統制は図れないのではないかと感じるところがあります。







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